2026年8月8日(土)、群馬県渋川市の水澤観音と佛光山法水寺を参拝したあとは、この日の宿がある伊香保温泉へ向かいました。
伊香保温泉といえば、温泉街の中心を貫く石段街。その石段街沿いに建つのが、今回宿泊した**千明仁泉亭(ちぎらじんせんてい)**です。玄関を出ればすぐ石段街という立地の良さに加え、伊香保を代表する「黄金の湯」を源泉100%かけ流しで楽しめる温泉宿です。
法水寺では長い階段を上り、この日は朝からあちこち歩いていたこともあって、宿に着く頃にはそろそろ温泉が恋しくなっていました。歴史を感じさせる建物に入り、ようやく腰を落ち着けると、ここからは観光の時間から温泉宿でのんびり過ごす時間へと切り替わります。
千明仁泉亭とはどんな宿
千明仁泉亭は約500年の歴史を持つ老舗旅館です。現在の本館にも大正から昭和初期にかけて建てられた木造建築が残り、客室によって造られた時代や意匠が異なります。新しいホテルにはない、長い年月を積み重ねてきた温泉宿ならではの雰囲気が感じられる建物です。

また、明治の文豪徳冨蘆花が贔屓にした宿としても知られています。蘆花の代表作『不如帰』の冒頭にも千明仁泉亭が登場し、館内には蘆花から先代当主へ宛てた手紙も展示されています。単に古い旅館というだけではなく、伊香保温泉が歩んできた歴史や文化の一端に触れられる宿でもあります。
一方で、歴史だけを前面に押し出した昔ながらの旅館というわけでもありません。館内には現代的に整えられた場所もあり、石段街側には「cafe&bar楽水楽山」もあります。昔から受け継がれてきたものを大切にしながら、今の時代に合わせて少しずつ手を加えていることも、千明仁泉亭の魅力なのだと思います。
貸切風呂で伊香保の黄金の湯を堪能
今回泊まったのはお風呂の付いていない客室でしたが、千明仁泉亭には仁・精・憩・泉という4つの貸切風呂があります。しかも予約は必要なく、空いていれば15時から翌朝9時30分まで利用できます。貸切風呂は無料なので、滞在中に何度でも気軽に温泉へ向かえるのがうれしいところです。
そして何より楽しみにしていたのが、伊香保温泉を代表する黄金の湯でした。

千明仁泉亭では、4つの貸切風呂だけでなく、大浴場や露天風呂もすべて黄金の湯。加水や循環を行わない源泉100%かけ流しで使用されています。千明仁泉亭は伊香保温泉でも多くの源泉を保有する宿のひとつで、館内すべての浴槽を黄金の湯だけで満たしているという、温泉好きには何とも贅沢な宿です。
泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉で、中性低張性温泉に分類されます。黄金の湯は湧き出したときから茶褐色をしているわけではなく、もともとは無色透明。含まれている鉄分が空気に触れて酸化することで、伊香保らしい茶褐色へと変化していきます。
貸切風呂の窓の向こうには伊香保の山々。静かな浴室で景色を眺めながら黄金の湯に身体を沈めていると、それまでの移動や参拝でたまっていた疲れも徐々にほぐれていきました。
客室にお風呂がなくても、私はまったく不便には感じませんでした。むしろ「今、空いているかな」と貸切風呂へ向かい、空いていればそのまま温泉へ。誰にも気兼ねすることなく源泉かけ流しの温泉を独り占めできる時間が心地よく、滞在中は何度も黄金の湯を楽しませてもらいました。
温泉男としては、こういう宿に泊まるとどうしても風呂へ行く回数が増えてしまいます。
夕食は地元の食材を取り入れた和会席
温泉を楽しんだあとは、お待ちかねの夕食です。



千明仁泉亭では地元の食材や旬の素材を取り入れ、季節感を大切にした和会席が用意されています。料理は仕入れや季節によって内容が変わりますが、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく提供することを大切にしているそうです。
この日も前菜から始まり、お造りや小鉢、焼き物などが並び、器や盛り付けにも目を楽しませてもらいました。そして、ひときわ目を引いたのが、きれいなサシの入った牛肉を使ったすき焼きです。
千明仁泉亭の通常の夕食では、メインとして群馬県産の上州牛のすき焼きが用意されています。肉だけでなく豆腐やキノコ、野菜もたっぷり入り、旅館の夕食らしい満足感のある一品でした。
品数もしっかりあり、一品ずつゆっくりいただいているうちにお腹もいっぱいになりました。豪華さだけを競うような料理ではなく、温泉宿で落ち着いて味わいたくなる和食が並んでいたことが印象に残っています。
朝食もゆっくり味わう和食
一晩ゆっくり休み、翌朝ももちろん黄金の湯へ。


朝風呂を楽しんだあとの朝食は、焼き物や小鉢、温かい料理などが並ぶ和食でした。夕食と同様に地元や旬の素材を生かしながら、身体にやさしい朝食を提供することを大切にしているそうです。
旅館に泊まると、夕食だけでなく朝食も楽しみのひとつです。普段の朝ならここまでゆっくり食卓に向かうことはなかなかありませんが、温泉に入り、きちんと用意された朝ごはんを時間を気にせず味わう。こういう時間も温泉旅館に泊まる楽しさだと思います。
石段街の中に泊まる便利さ
千明仁泉亭に泊まって感じたもうひとつの魅力が立地です。

宿があるのは伊香保温泉の中心となる石段街沿い。玄関を出てすぐ石段街へ出られるため、伊香保の温泉街を楽しむ拠点として申し分ありません。公式サイトでも「伊香保の中心にある名物石段街沿い」と案内されています。
伊香保へ来たからには石段街を歩きたいものですが、宿から離れていると移動だけでもひと仕事です。その点、千明仁泉亭なら石段街の中腹に宿泊している感覚で、温泉街を身近に感じながら滞在できます。
昔ながらの旅館が並び、射的店や土産物店、飲食店が軒を連ねる石段街。その一角に自分たちが泊まる宿があるというのは、伊香保らしさを味わううえでもよいものでした。
また泊まりたくなる千明仁泉亭
約500年という歴史、伊香保を代表する黄金の湯、地元の食材を取り入れた料理、そして石段街という立地。千明仁泉亭には老舗温泉旅館らしい魅力がいくつもありました。
なかでも私が気に入ったのは、やはり貸切風呂です。予約時間に合わせて行動する必要がなく、空いていれば好きなときに入れる気軽さは、温泉そのものを目的に宿泊する私にはぴったりでした。源泉100%かけ流しの黄金の湯を何度も楽しみ、宿では本当にゆっくりとした時間を過ごすことができました。

そして、今回の滞在で忘れてはいけないのが若女将をはじめスタッフの皆さんの温かい応対です。いろいろと親切にしていただき、気持ちよく滞在することができました。立派な建物や良い温泉があっても、最後に「また泊まりたい」と思わせてくれるのは、やはり宿で出会った人なのかもしれません。
法水寺の長い階段を上り、伊香保へ移動し、最後は黄金の湯にゆっくり浸かる。盛りだくさんだった一日の締めくくりに、千明仁泉亭を選んで良かったと思える一夜になりました。
伊香保温泉 千明仁泉亭

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 伊香保温泉 千明仁泉亭 |
| 読み方 | ちぎらじんせんてい |
| 所在地 | 〒377-0102 群馬県渋川市伊香保町伊香保45 |
| 地図 | 群馬県渋川市伊香保町伊香保45 |
| アクセス | JR渋川駅からバスで伊香保温泉方面へ 伊香保温泉または石段街口から徒歩約5分 |
| 電話番号 | 0279-72-3355 |
| チェックイン | 15時00分〜 |
| チェックアウト | <本館> 〜10時00分 <別館鶴の居および本館半露天風呂付き客室> 〜11時00分 |
| 客室数 | 34室 |
| 温泉 | 伊香保温泉 黄金の湯 源泉100%掛け流し |
| 泉質 | カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉 |
| 貸切風呂 | 4か所 (無料・予約不要) |
| 貸切風呂利用時間 | 15時00分〜9時30分 |
| 駐車場 | あり (無料・約140台) |
| 日帰り入浴 | なし |
| 公式サイト | https://www.jinsentei.com/ |
※基本情報は千明仁泉亭公式サイトの2026年9月時点の案内をもとにしています。
